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半世紀前から国会で追及されていた「統一教会」 1970年代の「国会審議」

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
統一教会の創始者・故文鮮明総裁(左)と後継者の韓鶴子夫人(教会PRパンフから)

 安倍晋三元首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを持つ犯人に銃撃、殺害されたことで旧統一教会に世間の関心の眼が向けられている。歴史を遡れば、統一協会及び原理運動については日本ではすでに1973年から1977年にかけて国会で何度も取り上げられていた。

 この時期は、東京に滞在していた韓国の野党指導者・金大中(キム・デジュン=元大統領)氏の拉致事件や駐韓米軍撤収阻止に向けた米国内での韓国中央情報部(KCIA)による不法活動が問題視されていた時期で米議会でも日本の国会でもKCIA絡みで統一教会が追及されていた。従って、当時を振り返れば、統一教会がどのような問題で世間の関心を集めていたかがわかる。幾つか、国会議事録からピックアップしてみる。

その1.1973年4月5日の衆議院内閣委員会

 統一教会と国際勝共連合(1968年発足)と密接な関係のある「幸世物産」と「統一産業」が空気銃散弾銃1万5千丁を韓国から輸入しようとした事件が大きく取り上げられ、政府側は「幸世物産」と国際勝共連合とは「極めて緊密な関係にある」と答弁していた。

その2.1976年5月21日の衆議院文教委員会

 大学内における統一教原理研究会及びそれに反対する父母会の動きが取り上げられ、統一教会と「世界平和教授アカデミー」の関係についても質されていた。「世界平和教授アカデミー」は1974年に東京で23人の準備委員によって設立されたシンクタンクで、松下正寿元立教大総長を会長に約1千人が会員として名前を連ねていた。

その3.1976年10月21日の参議院外務委員会

 統一教会側が日本で集めた金(77億円相当)を韓国に不正な方法で送金しようとした疑惑についてTBSニュースキャスター出身の田英夫議員(社会党)が追及していた。

その4.1977年2月7日の衆議院予算委員会

 後に社会党委員長となった石橋正嗣議員が福田赳夫首相、海部俊樹文相、鳩山威一郎外相らに統一協会に反対する団体から出されていた「世界基督教統一神霊教会の日本に於ける不法活動を調査し、摘発し、処分し、禁止を求める請願書」を基に質問していた。海部文相は「同教会は現在、全国に400カ所の伝道所を設けているところしかわかっていない」と答え、1974年5月に帝国ホテルで統一教会の教祖・文鮮明氏が主催した「希望の日晩餐会」に出席し、祝辞を述べたことについて問い質された福田首相は「キリスト教と言えば、愛を、人類愛を説くわけですので私の連帯と協調と全く相通じるものがあるわけです。それで、私は人間愛、助け合い、補い合い、そして責任の分かち合いこそが人間社会における最高の指導原理でなければならないことを力説したわけです」と答弁していた。福田首相は「アジアに偉大な指導者が現れる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいましてから久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、また高まいなるご教示にあずかりまして本当に今日はいい晩だと、気が晴れ晴れとしました」と文鮮明氏に最大の賛辞を送っていた。

その5.1977年3月22日の衆議院法務委員会

 韓国で統一教会系の朝鮮人参メーカ「ー和製薬」が59億ウォンの脱税容疑で摘発(2月3日)された事件の翌月に開かれたこの日の法務委員会では横山利秋議員(社会党)が質問に立ち、韓国における集団結婚や同教会系による朝鮮人参茶販売、脱税疑惑などについて質していた。

その6.1977年4月6日の衆議院法務委員会

 この日は統一教会の街頭カンパや集団結婚の他、▲原理運動教義の是非▲同運動の法に抵触する問題▲教育システムなどが取り上げられた。福田首相は「違法、不当あるいは人権に関するような問題は看過してはいけないと思っている」と答弁していた。この日は、日野市朗議員(社会党)が統一教会と勝共連動、統一産業との関係について集中的に質問をしていた。

その7.1977年4月20日の衆議院法務委員会

 横山議員に加えて、社会党から二宮弘議員、それに共産党から正森成二議員も加わり、統一教会信徒らが米国と台湾に出向いて原理運動を行っていることや全国で行われている募金活動、ライフル銃の輸入問題を巡って政府を詰問していた。

その8.1977年5月25日の衆議院法務委員会

 この日は野党議員だけでなく、与党・自民党からも宇都宮徳馬議員が質問に立った。野党議員は主に統一教会の入信者に対する「暴行事件」や大量の朝鮮人参販売をめぐって質疑したが、前年の衆議院選挙で国際勝共連合から組織的な選挙妨害を受けた宇都宮議員は自らの体験を基に以下のように国際勝共連合の実態について明かしていた。

 「私の調べたところでは、勝共連合と統一教会は大体一体の団体である。つまり、統一教会というものがいろいろな下部団体を持っていて、例えば、世界日報というものもあります。それから統一産業という商事会社もありますけど、これは一つの集団がいろいろ分かれていて、それで統一産業から統一教会に行くとか、お互いに幹部の更迭なんかをしています。ですから国際勝共連合というのは中心の指導者は文鮮明(教祖)であり、そしてその成員も結局、統一教会の人たちで構成されています」

(参考資料:「統一教会」の全貌! 知られざる「対米・対日コネクション」)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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